この度は、2023年度日本太陽エネルギー学会奨励賞(学生部門)を賜り、誠にありがとうございます。このような栄誉ある賞に選出いただき、大変光栄に存じます。本研究を評価してくださった審査員の皆様、学会関係者の皆様、並びに研究発表会当日に活発なご議論をいただいた座長をはじめとした参加者の皆様に、心より御礼申し上げます。
太陽光発電(PV)システムの導入が世界的に増加している中で、長期間運用されているPVモジュールには不具合が発生するといった報告が挙がってきております。不具合が発生すると、発電性能が低下し、経済的な損失につながります。しかし、現在主流となっているメンテナンス手法は、PVシステム全体の不具合を検出するものが多く、モジュール単位での不具合検出技術は数が多くありません。PVシステムの中で不具合のあるモジュールが特定できれば、不具合モジュールのみを交換することで運用コストを低減することが可能です。
このような背景から、本研究では、キセノンフラッシュ光とキャパシタを用いて、フラッシュ光照射時のキャパシタ電圧と出力電流に基づく、ストリング接続されたPVモジュールの不具合診断手法について提案しました。具体的には、あらかじめ検出用ダイオードを接続したPVシステム内のストリングに対して、フラッシュ光を評価対象モジュールに次々に照射し、8回照射時のキャパシタ電圧、1回照射時の出力電流、1回照射時のキャパシタ電圧を診断指標として、モジュール単位の不具合検出を行う手法になっております。提案手法では、腐食による直列抵抗の増加、表面汚れによる光量低下、バイパスダイオードの短絡故障の3種類の不具合を模倣し、シミュレーションと実証実験において、不具合の種類が検出できることを示しました。本研究の成果が、PVシステムの安全かつ経済的な運用に貢献できることを願っております。
最後になりますが、本研究を進めるにあたり、丁寧なご指導、ご鞭撻を賜りました本学指導教員の田中正志准教授、また大変有益なご助言をいただきました、滋賀県立大学の乾義尚教授、並びに本学エネルギーシステム研究室の皆様に、この場を借りて深く感謝いたします。
参考,https://www.jses-solar.jp/report/60547.html (Online 2024/02/05)